欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/5/26

経済産業情報

60度の温水でスパコンを冷却=チューリッヒ工科大

この記事の要約

スーパーコンピューター「Aquasar」を60度の温水で冷却しながら運転する実験がチューリッヒ工科大学の研究所で5月6日から始まった。水は空気よりも熱を効率よく蓄え、放出できるため、水冷装置はサーバーやゲーム機にも利用さ […]

スーパーコンピューター「Aquasar」を60度の温水で冷却しながら運転する実験がチューリッヒ工科大学の研究所で5月6日から始まった。水は空気よりも熱を効率よく蓄え、放出できるため、水冷装置はサーバーやゲーム機にも利用されている。60度の温水でスパコンを冷却するというのは矛盾に聞こえるが、研究者によると、スパコンのプロセッサーを85度に下げるには60度の温水で十分に「冷たい」という。高温の排熱を暖房と温水供給に利用できるという利点もある。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が18日付で報じた。

\

プロセッサーを効率的に冷やすためには、水冷装置をできるだけ近い場所に設置することが重要で、そのためにはプロセッサーの背面に取り付けられたマイクロチャンネル熱交換器に防水加工を施す必要がある。スパコンAquasarの水冷装置はこのため、100%防水処理された環境下に設置された。同装置は1分間に30リットルの温水をポンプで汲みこみ、冷却過程で生じる排熱は熱交換器を通って大学内の施設60棟の暖房に利用される。

\

Aquasarは機械工学・プロセス技術学科の研究室に置かれており、1秒間に6兆回の計算をこなす。主に複雑な水流シミュレーションの分析に利用されるため、今回の温水による水冷装置の水流も分析の対象となっている。

\

水冷装置で生じる排熱は暖房や温水供給だけでなく、海水の淡水化にも利用できる。海水が排熱によって気化し再び液化する過程で塩分を分離する仕組みだ。すでにエジプト政府がこの淡水化技術に関心を示しているという。

\