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2010/5/26

経済産業情報

独造船業界が政府に支援要請

この記事の要約

受注激減で深刻な危機に見舞われている独造船業界が公的支援を要請した。独造船・海洋技術連盟(VSM)と金属労組IGメタルは18日、海運政策を担当する経済技術省のハンスヨアヒム・オットー政務次官宛てに緊急書簡を送り、政府の景 […]

受注激減で深刻な危機に見舞われている独造船業界が公的支援を要請した。独造船・海洋技術連盟(VSM)と金属労組IGメタルは18日、海運政策を担当する経済技術省のハンスヨアヒム・オットー政務次官宛てに緊急書簡を送り、政府の景気対策の一環として行われている独復興金融公庫(KfW)の特別融資プログラムを2011年以降も継続するよう求めた。また、融資の90%を政府が保証するという支援策についても、銀行が残り10%の引き受けに消極的なため効果が薄いと指摘し、政府保証比率の引き上げを要請した。

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世界的な経済危機のあおりを受けて、船舶需要は急減。独造船メーカーが09年に受注した商船は前年の半分以下の20隻に落ち込んだ。資金繰りが悪化した海運会社が特に大型船の発注を手控えたため、受注額は5分の1以下の5億ユーロと減少幅がさらに大きい。経営悪化で6社が倒産に追い込まれ、業界就業人口は2万3,600人から2万人に減少した。ロイド造船所のヴェルナー・リューケン社長は今後も倒産企業が出るとの悲観的な見通しを示した。

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独造船業界の苦境に追い打ちをかけているのは韓国と中国の競合だ。VSMのヴェルナー・ルント会長は、中韓の造船メーカーは受注を勝ち取るためにダンピング価格での売り込みも辞さないと述べ、強く批判した。また、ドイツでは韓国に比べ手付金が安く、海運業者が注文をキャンセルしやすいことも問題だと指摘した。

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