銀行カード(ECカード)とクレジットカードの偽造による被害がドイツで急増している。ドイツ連邦警察庁(BKA)の5月26日の発表によると、カード偽造目的でキャッシュディスペンサーに細工した件数は今年1~4月だけで1,032件に上っており、通年では昨年の2,058件を大きく上回る勢いだ。BKAのツィールケ長官は、偽造で最も多く使われるスキミングという手法で悪用されるカード裏面の磁気ストライプを廃止するよう金融機関に要求した。
\スキミングは小型の機械をキャッシュディスペンサーの内部にひそかに設置し、その機械でカードの磁気ストライプに記録された個人情報を読み取る犯罪。現金引き出しに必要な暗証番号は小型カメラによる隠し撮りや、偽物の入力キーボードを本物の上にかぶせて無線で送信する手口などを通して盗まれる。昨年のスキミング被害の件数は10万件を超え、被害総額は4,000万ユーロに上った。
\国内では来年1月までに磁気ストライプに代わりカード表面のICチップが決済情報を処理する体制に全面的に切り替わるが、米国など外国ではICチップ式のカードは使えない。このため、ツィールケ長官は磁気ストライプの廃止を求める一方で、◇国外旅行中だけカード裏面の磁気ストライプを使えるようにする◇チップ式とストライプ式の2枚のカードを作る――という妥協案を示している。
\各州の刑事局(LKA)によると、安全対策が厳しい国内で偽造カードが利用されることはほとんどなく、ドイツで違法にコピーされた偽造カードの75%はイタリア、ブルガリア、ルーマニア、英国、フランスの5カ国で使用されているという。
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