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2010/6/16

経済産業情報

ハイキングの意外なリスク

この記事の要約

春から秋にかけてはハイキングの最高のシーズンである。地図や雨具をリュックに詰め森や草原、岩場を歩けば、心は弾み幸せな気分に包まれる。しかし、どんなに登山道が整備されても山には思わぬ危険が多いことに変わりはなく、緊張感も忘 […]

春から秋にかけてはハイキングの最高のシーズンである。地図や雨具をリュックに詰め森や草原、岩場を歩けば、心は弾み幸せな気分に包まれる。しかし、どんなに登山道が整備されても山には思わぬ危険が多いことに変わりはなく、緊張感も忘れてはなるまい。

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では、山の危険とは何かと言えば、まずは天気と足場が挙げられる。山中で荒れ狂う雷雨に一度でも遭遇した人ならば、自然の怖さが肌に刻み込まれているだろう。

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ハイキングエリアに住む動物にも警戒が必要である。日本ではクマということになろう。一方、西欧にはクマが少なく、ドイツとスイスには生息していない。それならば動物の心配はないのかと言うとさにあらず。意外な動物がけっこう怖いのだ。

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牧場で飼われている牛である。放牧されている牛の群れに近づくと、まず例外なくジロッとガンを飛ばされる。牛が登山者の方に近寄ってきて威嚇することも多い。放牧地に柵が張り巡らされている限り襲われることはないが、登山者の方が彼らの「縄張り」に入りこんだわけだから、あまり長居はすべきでないだろう。

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登山道が放牧地のなかを通っている場合は注意が必要である。家畜であるため人を襲うことはほとんどないのだが、例外もあるからだ。事実スイスでは最近、ハイカーが雄牛に襲われ死亡する事件が起きた。

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このハイカーはザンクトガレン州のウツナハ村にある登山道を歩いていた80歳の老人。事件の具体的な経過は不明だが、5月24日に放牧地内で襲われて重症の傷を負い、2週間後の今月7日、収容先の病院で死亡した。年齢からしてハイキングの経験が豊富で、放牧地内を歩いたことはこれまでも多かったとみられる。

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事件を起こした雄牛は25日に殺処分された。また老人が死亡したことを受け、警察は飼い主の捜査を開始している。しかし、牧場の主が何らかの処分を受けるようだと、自ら所有する放牧地を登山道として開放する酪農家はいなくなってしまうのではなかろうか。

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