欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/7/7

経済産業情報

独貨物船の海賊被害、1年で倍増、コスト増加分は顧客に転嫁できず

この記事の要約

ドイツの海運関連企業101社を対象に監査法人大手プライス・ウォーターハウス・クーパーズ(PwC)が実施した調査によると、海賊被害をこれまでに少なくとも1度受けたことがある企業は42%で、1年前の調査の20%から倍増した。 […]

ドイツの海運関連企業101社を対象に監査法人大手プライス・ウォーターハウス・クーパーズ(PwC)が実施した調査によると、海賊被害をこれまでに少なくとも1度受けたことがある企業は42%で、1年前の調査の20%から倍増した。過去1年以内に被害に遭った企業はそのうちの75%に上り、2回以上被害に遭った企業も半数を超えた。

\

被害を避けるため「迂回運航している」企業は40%、「民間警備員を乗船させている」も20%で、「乗組員向けの海賊対策研修や船舶の改造を実施している」は過半数に達した。また、「被害多発で保険料が上昇した」は62%と多く、海賊問題は海運会社の大きな負担となっている。ただ、大半の企業はコスト増加分を顧客に転嫁できないと回答した。

\

独海軍も参加し、欧州連合(EU)がソマリア沖で繰り広げている対海賊海上作戦については、効果があると評価した企業が40%にとどまった。独海運事業者連盟(VDR)は警察官を乗船させることを求めているが、政府は法的に難しいと消極的だ。

\

ただ、海賊被害にもかかわらず、海運業界の今後の業績見通しは暗くない。積荷率100%の貨物船の割合は1年前の50%から80%に上昇。今後12カ月でチャーター料、貨物料が上昇すると見込む企業はそれぞれ80%、70%を占めた。人員拡大を計画する企業も62%に上った。

\

一方、銀行からの資金調達は相変わらず難しく、融資契約の締結後に新たな担保を要求された企業は昨年の22%から43%に増大した。金利を引き上げられた企業は70%。要求される自己資本比率も38.4%から41.9%に上昇した。さらに70%がメキシコ湾の原油流出事故の影響で船舶に対する環境・安全規制が強化され、負担増につながると懸念している。

\