欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/7/7

経済産業情報

ソフト大手SAPが反競争的行為、米社が欧州委に苦情

この記事の要約

米ソフトウエア大手バーサタ(Versata)は6月29日、独ビジネスソフトウエア大手SAPの商慣行が欧州連合(EU)競争法に違反しているとして、欧州委員会に苦情を申し立てた。バーサタはSAPが企業向け統合パッケージソフト […]

米ソフトウエア大手バーサタ(Versata)は6月29日、独ビジネスソフトウエア大手SAPの商慣行が欧州連合(EU)競争法に違反しているとして、欧州委員会に苦情を申し立てた。バーサタはSAPが企業向け統合パッケージソフト市場における支配的地位を利用して、同社製品と互換性のあるソフト開発に必要な技術情報の開示を拒み、バーサタの開発したソフトを市場から締め出したと主張している。SAP、欧州委ともコメントを控えている。

\

SAPは仕入れから製造、販売、在庫、会計処理に至る業務の全プロセスを一括管理する基幹業務ソフト(ERP)と呼ばれる企業向けソフトウエアの分野で市場支配的な地位にあり、世界の大手企業の7割以上が同社製品を導入している。バーサタの申し立てによると、SAPはバーサタが価格設定ソフトを開発する際、ERPとの相互運用性を確保するために必要な技術情報の提供を拒否し、顧客に対してバーサタのソフトはSAP製ERPと互換性がないと説明。その後、バーサタの製品と似通った価格設定ソフトを開発してERPとセットで無償提供した結果、バーサタ製ソフトは徐々にシェアを失い、1990年代後半に市場から締め出された。

\

大手法律事務所クリフォード・チャンスのパートナーでバーサタを担当するトーマス・ビニエ氏は、今回の事案は米マイクロソフトが基本ソフト「オフィス」やサーバー製品などについて相互運用性の確保に必要な技術情報の提供を拒んでいるとして、IBMやオラクルなどが加盟する業界団体EICSが欧州委に苦情を申し立てたケースに類似していると指摘。欧州委に対し、SAPに◇技術情報の開示◇ERPと価格設定ソフトのセット販売の停止◇制裁金の支払い――を命じるよう求めたことを明らかにした。

\