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2010/7/14

経済産業情報

紙幣偽造防止の米社特許、最高裁が無効判決

この記事の要約

紙幣偽造防止技術に関する米Document Security Systems(DSS)の欧州特許の有効性をめぐる係争で、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は8日、同特許は国内で無効と裁定した(訴訟番号:Xa Z […]

紙幣偽造防止技術に関する米Document Security Systems(DSS)の欧州特許の有効性をめぐる係争で、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は8日、同特許は国内で無効と裁定した(訴訟番号:Xa ZR 124/07)。同特許の有効性をめぐってはドイツを含む欧州連合(EU)9カ国で裁判が行われており、ドイツのほか英国、イタリア、フランスで無効が確定。一方、スペイン、オランダでは一審レベルで有効との判断が出ている。

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問題となっているのは米DSSが開発した紙幣偽造防止技術で、6年前に欧州特許が付与された。紙幣をコピーしようとすると変色して複写されるほか、コピーであることを示す縞模様が出る。DSSはユーロ紙幣印刷で同技術が使用されていながら相応のライセンス料が支払われていないとして、欧州中央銀行(ECB)に特許料の支払いを要求。ECBがこれを拒否したことから、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)に提訴した。

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欧州特許はEUの欧州特許庁(EPO)に出願して取得する特許だが、「EU全域で有効な単一の特許」ではなく「複数の締結国で保護される複数の特許」と位置づけられているため、最終的な認可権限は各国の特許庁にある。このためECBは、DSSの技術はすでに1976年のスイス紙幣で使用されており新しいものとは言えないとして、同特許が付与された9カ国全てで特許の無効を求める裁判を起こした。

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ドイツでは07年の連邦特許裁判所で「有効」判決が出ていたが、今回の最高裁判決で無効が確定した。

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『南ドイツ新聞』によると、ドイツ連邦銀行は年20億枚のユーロ紙幣を発行しており、その製造経費は1億6,000万ユーロに上る。製造費用の1.6~4.8%が特許使用料として支払われると、その額は年160万~430万ユーロに達する。

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