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2010/7/14

ゲシェフトフューラーの豆知識

有給中に子供が病気でも休暇振り替えの請求権なし

この記事の要約

有給休暇の最中に病気になった場合、病気の期間は未消化の有給休暇として取り扱われ、被用者はその分を後日、取得できる。これは有給休暇法(BUrlG)9条に明記されたルールであり、被用者は医師が発行した労働不能証明書(通称ゲル […]

有給休暇の最中に病気になった場合、病気の期間は未消化の有給休暇として取り扱われ、被用者はその分を後日、取得できる。これは有給休暇法(BUrlG)9条に明記されたルールであり、被用者は医師が発行した労働不能証明書(通称ゲルベシャイン)を雇用主に提出することでこの権利を行使できる。

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では、有給休暇の最中に子供が病気になったため、看病に追われる羽目になった場合、BUrlG9条の規定を適用することはできるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン労働裁判所が6月17日に判決(訴訟番号:2 Ca 1648/10)を下したので、今回はこれをお伝えする。

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裁判を起こしたのは小売店の店員A。Aは2009年11月16~21日の6日間、有給休暇を取得したが、子供が病気になったため、まるまる6日間を看病に費やした。

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これを受け、子供が病気だったことを証明する医師の文書を休暇明けに提出。そのうえで、11月16~21日の6日間を取得済みの有給休暇扱いとせず、12月23~31日の6日間(クリスマス祝日と日曜日の計3日は営業日でないため含まれない)に振り替えることを雇用主に要求した。雇用主がこれを拒否したため、裁判となった。

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ベルリン労裁が下した判決は原告敗訴である。裁判官は原告の訴えを退けた理由として、立法機関(議会)は現行の有給休暇法を制定した際、同法9条の規定を被用者本人以外に適用することを意図していなかったとの判断を示した。

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判決主文で控訴が認められているため、係争は第2審に持ち込まれる可能性が高い。

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