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2010/7/21

経済産業情報

サハラのエコ電力、2015年にも欧州に

この記事の要約

サハラ砂漠に太陽熱・風力発電所を建設し電力を欧州に供給するプロジェクト「Desertec」は、実現に向けた大まかな時程表が固まったようだ。同プロジェクトを統括するミュンヘン再保険のエルンスト・ラオホ氏はこのほど『南ドイツ […]

サハラ砂漠に太陽熱・風力発電所を建設し電力を欧州に供給するプロジェクト「Desertec」は、実現に向けた大まかな時程表が固まったようだ。同プロジェクトを統括するミュンヘン再保険のエルンスト・ラオホ氏はこのほど『南ドイツ新聞』のインタビューで、最初の試験プロジェクトを2013年にもモロッコで開始し、2015年末にはサハラのエコ電力を欧州大陸に供給するとの見通しを明らかにした。

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Desertecはドイツを中心とする大手企業12社が1年前に立ち上げた巨大プロジェクト。サハラ砂漠の複数の場所に大規模な太陽熱、風力発電施設を建設し、2050年までに欧州の電力需要の15%をカバーすることを目標に掲げている。これまでにスペインやフランス、モロッコの企業も加わり、参加企業は17社に拡大した。

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プロジェクトの運営事業体であるDIIはまず、2012年までに具体的な構想を練り上げ、試験プロジェクトを通してDesertecの実現可能性を検証していく。ラオホ氏によると、最初の試験発電所となる太陽熱発電所はモロッコに建設される見通し。DIIはモロッコ、アルジェリア、チュニジアの政府と交渉を進めているが、エネルギーの95%を輸入に頼るモロッコが同プロジェクトに最も関心を示しているという。発電所の規模は最大1,000メガワットを予定している。

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Desertecは投資規模が最大で4,000億ユーロに上るとされ、専門家や市場関係者の間では資金的に実現が難しいという意見もある。ラオホ氏はこれに対し、「40年間では4,000億ユーロだが、1年単位では100億ユーロだ。世界の再生可能エネルギー向け投資額(年1,000億ドル)の1割に過ぎない」と述べ、不可能ではないと強調した。世界銀行とも融資交渉を進めているという。

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