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2010/7/21

経済産業情報

高圧送電網、エコ電力で負担が増大

この記事の要約

エコ電力の普及がドイツの高圧送電網の大きな負担となっている。同国北部で風力発電が増加したことを受け、天候に大きく左右される同電力の出力を調整して南部や西部の電力消費地域まで送り届ける必要が生じているためだ。今後、北海やバ […]

エコ電力の普及がドイツの高圧送電網の大きな負担となっている。同国北部で風力発電が増加したことを受け、天候に大きく左右される同電力の出力を調整して南部や西部の電力消費地域まで送り届ける必要が生じているためだ。今後、北海やバルト海で洋上風力発電が本格化すれば、風力発電量が送電網の輸送能力を超えて停電が増える恐れもあり、高圧送電網の拡張や輸送・蓄電能力の向上は緊急の課題となっている。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が14日付けで報じた。

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ドイツ北部は風の強い北海やバルト海が近いうえ、平地が多く大規模な風力発電所の建設に適している。北部を中心とする国内の風力発電能力は昨年末までに2万5,777メガワット(MW)へと拡大した。同能力はピーク時の電力需要の約3分の1を賄えるうえ、夜間の需要ならほぼ100%カバーできる。ただ、風力発電は天候に大きく左右されるため、実際に稼働する時間は平均で年1,750時間(72.5日)にすぎない。それでも、エコ電力を優先的に送電網に流すことが再生可能エネルギー法(EEG)で義務づけられているため、北部で強風や突風が吹くと送電網を流れる風力電力が突然増加し停電につながるケースもある。

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変電所の技術者は停電が周辺の送電網に波及するのを防ぐため、周辺の石炭発電所の発電量を引き下げたり、余剰電力を蓄電機能のある水力発電所に移したりして需給を調整する。そのコストは最終的に消費者が負担している。

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国内で高圧送電網を運営するAmprion(RWE子会社)、Transpower(エーオンが蘭Tennnetに売却)、Transportnetze(EnBW子会社)、50Hertz Transmission(バッテンフォールがベルギーのEliaに売却)の4社は2010~18年に送電網の整備・拡張に計78億ユーロを投資する計画。ただ、認可手続きの煩雑さや周辺住民の反対などで計画が大幅に遅れる恐れもある。

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