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2010/7/28

経済産業情報

鉄鋼業界の利益、排出枠有償化で10分の1に

この記事の要約

2013年から実施予定の二酸化炭素(CO2)排出枠の有償化はドイツのエネルギー集約型産業に大きな打撃を与える見通しだ。企業コンサルティングのGoetzpartnersがまとめた予測レポートによると、2020年の独鉄鋼業界 […]

2013年から実施予定の二酸化炭素(CO2)排出枠の有償化はドイツのエネルギー集約型産業に大きな打撃を与える見通しだ。企業コンサルティングのGoetzpartnersがまとめた予測レポートによると、2020年の独鉄鋼業界の利払い・税・償却前利益(EBITDA)は2010年比で87%縮小。石油精製、セメント業界でもそれぞれ41%、62%減少するという。同レポートを独自入手した『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』が20日報じた。

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欧州連合(EU)はCO2排出量取引制度(EU-ETS)の第3期(2013-20年)から排出枠の有償化に移行する。電力会社は13年以降、排出枠が100%有償となり、それ以外の製造業も有償配分の比率が段階的に引き上げられる。

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Goetzpartnersの試算によると、20年の排出権取引価格が現在の約13ユーロから15ユーロに上昇するという「穏やかなシナリオ」の場合、独製造業全体の追加負担額は50億ユーロで、このうち鉄鋼産業が22億9,500万ユーロ、石油精製産業が9億6,900万ユーロ、セメント産業が8億6,700万ユーロを占める。排出権価格が大きく上昇した場合は、負担額も増える。

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排出枠有償化の影響は特に中堅企業で大きいという。資金力の高い大手企業と異なり、排出権が比較的安い現時点で将来の排出権を購入しておくことが難しいためだ。排出権は将来的に値上がりすると見込まれており、Goetzpartnersは早期購入を勧めている。

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