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2011/6/22

総合 - ドイツ経済ニュース

上位500社の売上高、昨年は約12%増加

この記事の要約

ドイツの大手企業の業績回復が鮮明だ。20日付『ヴェルト』紙によると、上位500社の2010年売上高は前年比で平均11.8%増加、上げ幅は2000年以来の高水準となった(グラフを参照)。世界の時価総額ランキングで現在トップ […]

ドイツの大手企業の業績回復が鮮明だ。20日付『ヴェルト』紙によると、上位500社の2010年売上高は前年比で平均11.8%増加、上げ幅は2000年以来の高水準となった(グラフを参照)。世界の時価総額ランキングで現在トップ100に入る独企業は6社で、1年前の3社から倍増している。

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独上位500社の売上成長率は09年にマイナス8.0%となり大きく落ち込んだ。金融・経済危機の直撃を受けた格好だが、10年は成長率がおよそ12%に達し、09年の落ち込みは完全に相殺された。10年の増収幅は同年の国内総生産(GDP)成長率3.6%を大きく上回っており、大手企業が経済回復をけん引していることがうかがわれる。

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一歩踏み込んでみると、09年の下落幅が大きかった業界ほど回復幅が大きく、09年に22.9%減となった金属加工業界は10年には24.8%増加。同21.8%減の自動車と15.2%減の化学もそれぞれ23.8%、22.8%の幅で改善した。一方、09年の減少率が5.8%だった機械は10年の増加幅が16.9%にとどまった。

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10年の売上高が最も大きかったのは前年に引き続き自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)で、20.6%増の1,269億ユーロを記録。ドイツ企業で唯一、千億ユーロのケタ台に乗った。2位もダイムラー(23.9%増の978億ユーロ)と自動車が続く。上位10社のなかで伸び率が最も大きかったのはBASF(化学)で、売上高は26%増の639億ユーロに拡大。09年の10位から6位へと大きく浮上した。上位10社で経済危機前の08年水準を回復できなかったのはシーメンス(電機)とメトロ(流通)の2社だけだった。

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2010年に初めてトップ500入りを果たした企業では、Albaグループ(リサイクル)とSoftware AG(ソフト)の2社が目立つ。Albaは同業Intersrohグループを買収して一気に231位に浮上、Software AGもIDSシェアーを傘下に収め484位にランクインした。

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トップ500社の数を州別でみると、最も多いのはこれまで同様ノルトライン・ヴェストファーレン州で、09年から3社増えて144社となった。これにバイエル州(6社増の91社)、ヘッセン州(5社減の75社)が続く。都市別ではミュンヘン(1社減の35社)が最も多く、2位はハンブルク(1社減の32社)、3位はデュッセルドルフ(2社減の24社)とフランクフルト(1社減の24社)となっている。首都ベルリンは2社増の18社で5位、自動車産業が集積するシュツットガルトは2社減の14社で8位。

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時価総額で独は上昇、日米は後退

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独企業の業績回復を背景に株価の回復も急速に進んでおり、DAX(ドイツ株価指数)の昨年6月からの上昇率は15%に達した。先進国の中では増加幅が突出しており、同4%で2位となった仏CAC40に大きく水をあけた。米ダウ平均株価はやや後退している。

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時価総額の世界ランキングをみると、ドイツ企業は39位のシーメンスが最高で、やや存在感が薄いものの、トップ100には前年の倍の6社がランクインした。業績回復に加えて、米国と日本企業の後退がプラスに働いたという。日本勢は自国経済の構造危機に震災と原発事故が追い打ちをかけ、トップ100に入ったのは3社にとどまった。(表を参照)

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