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2011/6/22

経済産業情報

新たなホウ素結晶、異なる化学結合が共存

この記事の要約

バイロイト大学のレオニード・ドゥブロビンスキー教授を中心とする国際研究チームは、2年前に初めて結晶構造が解析された新しいホウ素結晶(γ-B28)の分子間化学結合の解明に成功した。3つのホウ素原子が2個の電子を共有している […]

バイロイト大学のレオニード・ドゥブロビンスキー教授を中心とする国際研究チームは、2年前に初めて結晶構造が解析された新しいホウ素結晶(γ-B28)の分子間化学結合の解明に成功した。3つのホウ素原子が2個の電子を共有している状態と、2つのホウ素原子が1個の電子を共有している状態の両方が含まれていることを明らかにした。単体の結晶内に2つの異なる化学結合が同時に現れることが確認されたのはホウ素ではこれが初めてという。

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ホウ素は原子番号5の元素。結晶構造の基本は12個のホウ素原子で形成される正20面体で、この20面体間の化学結合の違いや配置によってα菱面体晶、β菱面体晶などの構造があることが知られている。

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バイロイト大の研究チームは2年前の09年、ホウ素の新たな結晶を高圧合成するとともに、その結晶構造がホウ素原子28個(B12とB2のペア2組)を1ユニットとする斜方晶(γ-B28)であることを解明した。今回の研究はこれをさらに進めたもので、フランスの欧州放射高施設(ESRF)とスウェーデン・リンシェ―ピング大学と共同で放射光によるX線回折を実施し、γ-B28の電子状態を観察。さらに、得られたデータをベクトル解析によって画像化した。この結果、隣接するB12同士をつなぐ個所では2原子が1電子を共有する「二中心一電子結合」だった一方、B12とB2同士をつなぐ個所では3原子が2電子を共有する「三中心二電子結合」であることを突き止めた。

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今回の研究結果は、『Physical Review Letters』に掲載された。

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