欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/6/22

経済産業情報

新車の欠陥、修理可能と事後に分かっても返品可

この記事の要約

度重なる修理にもかかわらずトラブルが続いた新車の返品の可否をめぐる係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は15日、契約解除申し出の時点で直せなかった故障は、後になって簡単に修理できることが判明した場合でも返品の理由にな […]

度重なる修理にもかかわらずトラブルが続いた新車の返品の可否をめぐる係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は15日、契約解除申し出の時点で直せなかった故障は、後になって簡単に修理できることが判明した場合でも返品の理由になるとの判断を示した。(訴訟番号:VIII ZR 139/09)

\

原告のドライバーは2003年9月、マツダ「M 6 Kombi」の新車を2万5,860ユーロで購入したが、納車直後からトラブルが続き、その度に修理工場への持ち込みを余儀なくされた。何度修理しても改善しないことに業を煮やした同ドライバーは05年11月に売買契約の解除を通知。支払った車両代金の返還と弁護士費用の支払いを求める訴訟を起こした。

\

一審のノイブランデンブルク地方裁判所は、「車体下側部分に錆がつき、車両前側の車軸の位置決めも間違っていた」とする専門家の鑑定を受け、損料(使用料)を差し引いたうえで代金を返還するようディーラー側に命じた。これに対し二審のロストック高等裁判所は、「トラブルの根本的な原因は車軸の位置のずれにあり、これは1,200ユーロ程度で修理可能な欠陥だった」として返品不可の逆転判決を言い渡していた。

\

BGHの裁判官は、「購入者が契約解除を申し込んだ時点のクルマの状態が判断基準になる」と指摘。そのうえで、同時点では修理を繰り返したにもかかわらず走行不良は解消しておらず、欠陥の原因は分かっていなかったとして、ドライバーはクルマを返品できる正当な理由があったと結論づけた。

\