欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/6/22

経済産業情報

エネルギー分野の研究開発、優先順位を産業界が政府に提言

この記事の要約

ドイツ産業連盟(BDI)は『ドイツのエネルギー研究の優先事項』と題する報告書を作成し、政府の今後のエネルギー研究開発投資で優先すべき分野を産業界の立場から提言した。最優先項目には「産業プロセスのエネルギー効率化」「高機能 […]

ドイツ産業連盟(BDI)は『ドイツのエネルギー研究の優先事項』と題する報告書を作成し、政府の今後のエネルギー研究開発投資で優先すべき分野を産業界の立場から提言した。最優先項目には「産業プロセスのエネルギー効率化」「高機能建材」などが挙がっている。報告書を独自入手した経済紙『ハンデルスブラット』(HB)が15日付で報じた。

\

BDIはエネルギーに関連する31の技術分野について「比較的少ない投資で」「(政府が原発全廃の期限とした)2022年をめどに」「商用化が可能か」という観点から優先分野を検討。高い将来性が見込めても商業ベースにのらない技術や、実用化のめどが立つまでに長期かつ巨額の投資が必要な技術は優先順位を低くした。BDIのウルバンケ委員(シーメンス)はHB紙に対し、今回の報告書は「政府に研究開発投資の的を絞ってもらうことが狙いだ」と説明。「政府があらゆる分野にまんべんなく研究資金をばらまくことを産業界は望んでいない」と明言した。

\

報告書では、「産業プロセスのエネルギー効率化」「高機能建材」「電気自動車用バッテリー」が最優先事項のトップ3に選ばれた。4位以下には「太陽光発電」「太陽熱発電」「洋上風力発電」「発電量の変動に柔軟に対応できる送電網」「発電所の効率化・柔軟化」「大容量蓄電」「二酸化炭素の回収・貯留(CCS)」がランクインした。一方、「核融合」「核反応技術」といった核関連技術、「バイオ燃料」「海洋エネルギー」「燃料電池車」などは優先度が低い。BDIは同報告書を近日中に公表するもようだ。

\