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2011/6/22

経済産業情報

欠陥商品の再施工、販売会社がコスト負担=欧州司法裁

この記事の要約

購入・設置後に欠陥が見つかった商品の再施工コスト負担をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)は16日、販売店に同コストを負担する義務があるとの判断を示した(訴訟番号:C-65/09、C-87/09)。保証期間内の製品不良に […]

購入・設置後に欠陥が見つかった商品の再施工コスト負担をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)は16日、販売店に同コストを負担する義務があるとの判断を示した(訴訟番号:C-65/09、C-87/09)。保証期間内の製品不良について消費者が修理・交換に付随する費用を負担することは認められないとして、ドイツの消費者2人の訴えを支持した。

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今回の係争の原告の1人であるカッセル在住の男性は、被告の建材店で45平方メートル相当のイタリアメーカー製床タイルを1,380ユーロで購入し、業者に施行させた。施行後ほどなくしてタイルが黒ずみだしたため、専門家に鑑定を依頼したところ、製品に研磨傷がついていたことが原因と判明。原告の男性は販売店に不良品の交換と再施工コスト(5,800ユーロ)の負担を要求したが、販売者側がこれを拒否したため裁判に持ち込んだ。

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もう1件のケースでは、バーデン・ヴュルテンベルク州に住む女性がインターネットショップで食洗機を購入し、自宅まで配達させた。自前で設置したところ、設置後に機械が不良品と判明。見つかった欠陥は修理不可能だったため、女性は不良品の交換のほか、販売業者自身が食洗機の付け替え(ないし再施工費用の負担)を行うよう要求した。

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両案件を審理していた連邦司法裁判所とバーデン・ヴュルテンベルク州ショルンドルフ区裁判所はともに、消費財売買に関するEU指令(1999/44/EC)にかかわる問題として審理を中断し、ECJに判断を仰いでいた。

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ECJの裁判官は、「販売者は商品の引渡し時点に存在した全ての契約違反について責任を負う」と指摘したうえで、消費者は販売者に無償で修理または商品の交換を請求できるとの見解を示した。ただ、保証責任は無限ではなく、「修理・交換によって生じるコストが通常の範囲を明らかに超える場合は、裁判所が販売者の負担費用を制限できる」と補足した。

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