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2011/6/29

総合 - ドイツ経済ニュース

独中政府が初の合同閣議を開催

この記事の要約

ドイツ政府と中国政府は27日から2日間、ベルリンで両国初の合同閣議を開催し、2国間関係を政治、経済、文化など幅広い分野で強化することで合意した。最大のテーマとなったのは経済問題で、中国は同国を「市場経済国」として承認する […]

ドイツ政府と中国政府は27日から2日間、ベルリンで両国初の合同閣議を開催し、2国間関係を政治、経済、文化など幅広い分野で強化することで合意した。最大のテーマとなったのは経済問題で、中国は同国を「市場経済国」として承認することを要求。ドイツはこれを受け入れなかったものの、一定の条件を満たせば認定する意向を表明した。合同閣議に並行し独中企業間の契約も数多く調印された。

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温首相は24~28日の日程でハンガリー、英国、ドイツの欧州3カ国を訪問した。ドイツとの合同閣議は戦略的パートナーシップの強化に向けて両国首脳や閣僚レベルの協議を年に1度行うとした昨年7月の合意に基づくもので、中国からは温首相のほか13人の閣僚が参加した。

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ドイツは戦略的に重要な国との間で合同閣議を開催しており、これまでにフランス、イスラエル、ポーランド、ロシア、インドなど7カ国と実施した。一方、中国が外国と合同閣議を開くのは初めてで、今回の訪独にかけた意気込みがうかがわれる。

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メディア報道によると、中国政府は同国と同じ貿易黒字国として米国から批判されたドイツに親近感を持っており、メルケル首相を「欧州連合(EU)の非公式の議長」とみなしているという。

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中国は2001年に世界貿易機関(WTO)加盟を果たしたものの、「非市場経済国」の地位にとどまるため、貿易上で大きなハンディキャップを背負っている。中国を市場経済国として承認しない国は同国の製品に対し高率の反ダンピング課税を行いやすいという事情があるためだ。

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温首相はメルケル首相と共同出席したベルリンでの講演で「中国はドイツの最高品質製品の輸入を増やす用意がある。その見返りとしてドイツによる市場経済国としての承認を希望する」と明言した。

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これに対しメルケル首相は、中国の公共入札などで外資が差別されていることや知財権問題、レアアースをはじめとする資源輸出の不当な制限を指摘。これらの問題が解決されなければ市場経済国として承認できないとするこれまでの立場を保った。

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28日に発表された両国の共同声明には「EUによる中国の市場経済国としての速やかな承認をドイツは引き続き積極的に支持する」との文言が盛り込まれた。公共調達への外資の参入障壁引き下げを狙ったWTO政府調達協定に中国が加盟することはドイツの支持条件の1つとなっている。

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財政悪化国の国債購入を拡大

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共同宣言にはこのほか、電気自動車、バッテリー開発、バッテリーのリサイクリング、国際産業規格、両国の中小企業の提携促進などで協力することも盛り込まれた。また、独中の貿易取引額を2015年までに、2010年の1,310億ユーロから2,000億ユーロに拡大するとの目標も取り決められた。来年のハノーバー国際産業技術見本市のパートナー国を中国とすることも決まった。

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温首相は28日にまた、ギリシャなどの財政危機を踏まえ「欧州が困難に直面すればわが国は手を差し伸べる」と述べ、財政悪化国の国債購入拡大に前向きな姿勢を示した。ハンガリーでは同国の国債を購入することを約束しており、メルケル首相はこうした姿勢を歓迎した。

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企業の提携では自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が中国の提携先である上海汽車(SAIC)、第一汽車(FAW)と新たに工場を建設する契約を締結した。SAICとは儀徴、FAWとは仏山でそれぞれ乗用車を共同生産する。年産能力は各3万台で、2013年の操業開始を予定している。同業のダイムラーも現地のエンジン工場と研究開発に投資を行う。

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化学大手のBASFは8億ユーロ強を投じて重慶に樹脂原料ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の生産施設を建設。2014年から稼働させる計画だ。

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航空機大手のエアバスは中国航空器材集団(CAS)とICBCファイナンシャル・リーシングから近・中距離旅客機「A320」を88機受注した。カタログ価格ベースの受注高は75億ドルに上る。

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