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2011/7/6

経済産業情報

東欧諸国への労働市場開放、大量流入にはほど遠く

この記事の要約

ドイツが欧州連合(EU)中東欧8カ国の労働者に対する就労制限を撤廃してから2カ月が経った。公式統計はまだ出ていないものの、これまでの受け入れ数はドイツ側の予想を大きく下回っているようで、独商工会議所連合会(DIHK)のア […]

ドイツが欧州連合(EU)中東欧8カ国の労働者に対する就労制限を撤廃してから2カ月が経った。公式統計はまだ出ていないものの、これまでの受け入れ数はドイツ側の予想を大きく下回っているようで、独商工会議所連合会(DIHK)のアヒム・デルクス副事務局長は「反響はむしろ鈍く、大量流入と呼ぶには程遠い」と明言した。就労登録増を見越して準備を進めてきたドイツとポーランドの労働当局は半ば肩すかしをくらった格好という。6月28日付『ハンデルスブラット』が報じた。

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ドイツとオーストリアは5月1日、2004年にEU入りしたポーランド、チェコなど中東欧8カ国の労働者への就労制限を撤廃した。産業界は労働市場の開放によって技術者などの労働力不足が緩和されると大きな期待を寄せていたが、DIHKのデルクス副事務局長は「ポーランドとの国境近くの町でちらほらと就職希望者がある程度」と失望を示した。

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東欧からの就職希望者が少ないことを受け、ドイツ側はリクルート活動に乗り出した。シレジア地方ではドイツの民間就職斡旋会社が「リクルートバス」を走らせ、村々を回って求人活動を展開する。ポーランドの『ジェチポスポリタ』紙によると、現地で事業登録するドイツの就職あっせん企業も増加している。ポーランドの人材斡旋業界が労働市場自由化以降に斡旋した件数は開放前の2.5倍に増加、ドイツからの求人件数は5倍に急増したという。独連邦雇用庁(BA)もシュチェチンに出張所を開設し、ドイツでの就労の可能性や利点をアピールしている。

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