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2011/7/20

経済産業情報

オフショア支援船が大幅に不足、洋上風力発電建設の最大のネックに

この記事の要約

洋上風力発電パークの需要が拡大するなかで、ドイツの風力発電業界が大きな障害に直面している。周辺諸国よりも厳しい設置環境下でも作業できる建設プロジェクト用の支援・作業船が大幅に不足しているのだ。業界関係者は、このままでは洋 […]

洋上風力発電パークの需要が拡大するなかで、ドイツの風力発電業界が大きな障害に直面している。周辺諸国よりも厳しい設置環境下でも作業できる建設プロジェクト用の支援・作業船が大幅に不足しているのだ。業界関係者は、このままでは洋上発電の出力を2030年までに25ギガワットに引き上げるという政府目標は達成できないと懸念している。13日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。

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市場調査会社Trendresearchの試算によると、政府目標を達成するには風力タービン4,500基の建設が必要となる。一方、現状では年180基を建設するのが精一杯で、30年には1,000基が不足する見通しだ。

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エネルギー大手RWEの広報担当者は「洋上風力発電プロジェクトでネックになっているのは作業船」と言い切った。船は1隻1億ユーロと高価で、船舶確保には多額の投資を余儀なくされる。同社は2009年、韓国の造船所にオフショア作業船2隻を発注した。

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競合のエーオンはチャーター方式で作業船の確保に成功した。蘭造船会社MPI Vroonから最新型のオフショア作業船「MPI Discovery」を6年間チャーターする契約を6月29日に締結している。

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MPI Discoveryはレグと呼ばれる6本の足を海底に下ろして船体を固定し、プラットフォームを海面上に上昇させてクレーン、くい打ちなどの作業を行う台船。水深40メートルまでの海域に投入でき、最大吊上荷重は1,000トン、吊り上げ高度は100メートル以上に達する。エーオンの再可エネ子会社であるE.on Climate & Renewablesのマイケル・ルイス欧州法人社長は「MPIと契約が締結できて至極光栄だ」と安堵の表情をみせる。

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ただ、チャーター料も決して安くない。業界関係者によると、料金は1日15万ユーロに上るという。

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