飛行中の航空機と地上の管制局との音声・データ通信で使用される様々な通信メディアを相互に接続し、シームレスな通信ネットワークの構築を目指す欧州連合(EU)の研究プロジェクト「SANDRA」が進められている。限られた周波数を有効活用するとともに相互運用性を高めることで、通信の質と信頼性を向上させる狙いだ。
\航空機と管制局との通信では、地上航行中はVHF(音声通信)やVDL2(データ通信)、WiMAXなどの地上波が、洋上航行中や地上波が利用できない地域では衛星通信(Lバンド帯、Kuバンド帯)などがそれぞれ使用されている。また、地上での通信ネットワークでもIPv4、IPv6、OSIなどさまざまな通信プロトコルが採用されている。
\EUの試算によると、航空交通量の増加に伴い現在割り当てられている周波数帯は2020年ごろにはパンクする見通しで、限られた周波数帯の効率的な活用は緊急の課題となっている。このためSANDRAプロジェクトでは、利用する各通信メディアのスムーズな切り替えを実現する機器やソフトを開発。航空機の機種や大小を問わず質の高い無線通信サービスが利用できるようにする計画だ。『南ドイツ新聞』によると、間もなくエアバスのA320テスト機にアンテナや送受信システムを実際に設置して性能試験を開始する。
\SANDRA(データリンク、ラジオ、アンテナ統合によるシームレスな航空通信ネットワーク化プロジェクト)はEUの第7次研究開発枠組み計画(FP7)の一環で、伊Selex Communications Spa、独航空宇宙局(DLR)、英Thales Aerospace、仏Dassalt Aviation、伊ピサ大学など13カ国の32機関が参加している。プロジェクト期間は2009~2012年の4年間。
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