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2011/8/3

総合 - ドイツ経済ニュース

シュツットガルト駅再開発、妥協案が新たな火種に

この記事の要約

シュツットガルト中央駅再開発事業「Stuttgart 21」をめぐり、調停役を務めるキリスト教民主同盟(CDU)のハイナー・ガイスラー元幹事長が提案した妥協案が波紋を広げている。全線を通過型の地下駅にする代わりに地上駅と […]

シュツットガルト中央駅再開発事業「Stuttgart 21」をめぐり、調停役を務めるキリスト教民主同盟(CDU)のハイナー・ガイスラー元幹事長が提案した妥協案が波紋を広げている。全線を通過型の地下駅にする代わりに地上駅と地下駅を組み合わせるという同氏の案に対し、ドイツ鉄道(DB)は拒否の意向を表明。建設反対派は「頭ごなしに否定するのは傲慢」としてDBを批判するとともに、討論の最後になって新たな火種となるような案を切り出したガイスラー氏に不快感を示した。

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7月29日の発表会では、スイスの交通計画コンサルティング会社SMAが実施した同再開発事業のストレステスト結果が広報された。同テストはDBと建設反対派が昨年秋に依頼していたもので、第三者が中立の立場からプロジェクトを評価することで対立を終結させることを目的としていた。しかし、DBの計画する通過式地下駅を支持する鑑定結果が出たことに反対派は反発。テストのやり直しを求めるなど、両者の溝は狭まっていない。

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ガイスラー氏は同発表会の終了間際になって、既存の地上駅をSバーン(近郊各駅停車)ホームとして使用し、地下駅化する長距離列車線の規模を縮小するという「折衷案」を提示した。トンネル工事が減るため建設コストを41億ユーロから25億~35億ユーロに圧縮できるとしている。建設反対派とバーデン・ヴュルテンベルク州政府は同案に賛同しなかったものの、検討する価値はあるとして前向きの態度を示した。一方、DBは「(同案は)すでに90年代に却下された案」として一蹴。ラムザウアー連邦交通省もDBの計画案が鑑定評価で合格した以上、妥協案が実現する可能性は低いとの考えを示した。

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