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2011/8/3

企業情報

Siemens AG―風力発電設備の製造効率向上へ―

この記事の要約

電機大手のSiemens(ミュンヘン)が風力発電設備の製造効率引き上げに取り組んでいる。作業工程の無駄を洗い出すとともに、これまで手仕事に頼ってきた作業を機械化。品質の高さを維持したまま製造時間の短縮とコスト圧縮を図る。 […]

電機大手のSiemens(ミュンヘン)が風力発電設備の製造効率引き上げに取り組んでいる。作業工程の無駄を洗い出すとともに、これまで手仕事に頼ってきた作業を機械化。品質の高さを維持したまま製造時間の短縮とコスト圧縮を図る。風力発電事業を統括するヘンリク・スティスダル取締役が『ハンデルスブラット(HB)』紙とのインタビューで明らかにした。来年にも世界市場でシェア3位に浮上することを目指している。

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同社は7年前、デンマークのBonus社を買収し風力発事業に本格参入した。スティスダル取締役は元Bonusの研究員で、風力発電業界ではパイオニアの1人に数えられる。開発精神も旺盛で、これまでの発明件数は74件、取得した特許件数は85件に達するという。

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Siemensは洋上風力発電(オフショア)で圧倒的な強みを持ち、同分野の世界市場シェアは50%を超える。一方、陸上風力発電(オンショア)分野では競合のVestas(デンマーク)やSinovel(中国)に大きく水をあけられている。再生可能エネルギー市場調査会社のBTM Consultによると、オンショアとオフショアを合わせた風力発電設備市場でSiemensのシェアは5.9%で、9位にとどまる。市場では中国・インドなどのアジア勢が台頭しつつあり、競争は激化している。

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こうした状況を受けて同社は工場の近代化投資を実施。また、作業員の無駄な動きを防止するため、タービンの位置を固定した状態で完成までの全行程を進める従来の生産方式を、工程によってタービンの場所を移す方式に改めた。次の場所に動かす時間になっても作業が終わらなければ「ロスタイム」を表示し、作業を急ぐよう促す。こうした取り組みは効果を発揮しており、出力2.3メガワットのタービン1基を作るのに要する時間は従来の36時間から半減したという。

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