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2011/8/24

総合 - ドイツ経済ニュース

輸出減速、今年は増加幅が11%に=独商工会議所

この記事の要約

独商工会議所連合会(DIHK)は23日、年報『ドイツの貿易見通し2011・2012年』を発表した。それによると、ドイツの輸出成長率は今年11.0%となり、前年の19.4%から大きく低下。来年も9%へと落ち込む。ただ、米国 […]

独商工会議所連合会(DIHK)は23日、年報『ドイツの貿易見通し2011・2012年』を発表した。それによると、ドイツの輸出成長率は今年11.0%となり、前年の19.4%から大きく低下。来年も9%へと落ち込む。ただ、米国経済の不振や世界的な株価の急落を背景にリーマンショックに続く景気の二番底が到来するとの見方には与していない。

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DIHKは世界80カ国にあるドイツの在外商工会議所(AHK)へのアンケートや各国市場動向の観測、会員企業へのアンケートなどをもとに1982年から同年報を作成している。今年は7月に包括的なアンケート調査を実施したほか、8月に入って世界経済とドイツ経済に重要な意味を持つ国のAHKを対象に補足調査も実施してまとめ上げた。

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それによると、世界経済の成長率は今年3.9%となり、昨年の5.0%から鈍化する。一部先進国の財政赤字問題や不動産バブルの後遺症のほか、新興諸国の金利引き上げや原料高がマイナス要因となる。それでも過去20年間の平均成長率3.4%を大きく上回る見通しで、世界不況の懸念はないという。

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来年の成長率は4.1%へとやや持ち直す。アジアやラテンアメリカの近代化需要や震災被害からの日本の復興が大きなプラス材料だ。欧米の成長率も上昇に転じる。

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世界経済の減速を受けドイツの輸出成長率は落ち込むものの、1991年以降の同成長率平均(5.3%)を大きく凌駕する。アジア、ラテンアメリカのほか、南東欧とトルコがけん引役となる見通し。足元の欧州向けは全体的に増加幅が小さいものの、ユーロ圏ではオーストリア、オランダ、フィンランド向け、欧州連合(EU)の新規加盟国でもポーランド、リトアニア、チェコ、スロバキア、エストニア向けは伸び率が大きいという。

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EU域外で最大の貿易相手国となった中国との取引額は昨年の1,300億ユーロから2012年には1,800億ユーロへと38%増加する。同国向けの輸出額も同540億ユーロから850億ユーロに拡大。米国向け(2012年780億ユーロ)を抜く見通しだ。

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南米経済のけん引車であるブラジルはGDP成長率が今年5%、来年4%に達する。サッカー・ワールドカップ(2014年)とオリンピック(2016年)を控えインフラの近代化需要が旺盛なため、同分野に強いドイツ経済は利益の享受を期待できる。

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ドイツの輸出の地域別の比率をみると、主力の欧州向けは07年の75.7%から2010年には71.4%へと低下した。一方、アジア太平洋とラテンアメリカ向けはそれぞれ9.6%から13.2%、1.5%から2.2%へと大きく上昇している。この傾向は今後も続く見通しで、ドイツ企業の新興諸国シフトはさらに強まると予想される。(表を参照)

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