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2011/8/24

ゲシェフトフューラーの豆知識

長期病欠社員の有給取得権、速やかに行使しなければ失効

この記事の要約

各年度の有給休暇は原則として年度末までに消化し、特別な事情がある場合も翌年3月末までに消化しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条に明記された決まりである。ただし、長期病欠で過年度の有給休暇を取得できなかっ […]

各年度の有給休暇は原則として年度末までに消化し、特別な事情がある場合も翌年3月末までに消化しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条に明記された決まりである。ただし、長期病欠で過年度の有給休暇を取得できなかった被用者は欧州連合(EU)法の規定により、翌年3月末以降でも未収得分を病休明けに消化できる(本誌2009年1月28日号を参照)。では、この権利の取得には期限がないのだろうか。ここでは連邦労働裁判所(BAG)が9日に下した判決(訴訟番号: 9 AZR 352/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはバス会社に勤務する運転手。年次有給休暇は30日に上る。同運転手は2005年1月11日から2008年6月6日までのおよそ3年半、病気休業した。復職後、雇用主から2008年分の有給休暇30日を与えられたが、翌09年になって05~07年の有給休暇90日の取得を申請。これが却下されたため提訴した。

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原告は第1、第2審で敗訴。最高裁のBAGも下級審の判断を支持した。判決理由で裁判官は、未消化となっている過年度の有給休暇を復職した年度中に取得できる状況にあった場合、同年度中にこれを取得しないと権利を喪失すると指摘。原告の場合は08年末で権利が失われたとの判断を示した。

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