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2011/8/24

ゲシェフトフューラーの豆知識

病欠連絡の遅れ、度重なれば解雇可

この記事の要約

病気で欠勤する場合、始業時間前に勤務先に連絡を入れるのは言うまでもなく常識である。勤務時間になっても出勤していなければ同僚が心配するだろうし、そもそも業務に支障が出る。だから、病欠連絡の遅れは警告処分の対象となる。では相 […]

病気で欠勤する場合、始業時間前に勤務先に連絡を入れるのは言うまでもなく常識である。勤務時間になっても出勤していなければ同僚が心配するだろうし、そもそも業務に支障が出る。だから、病欠連絡の遅れは警告処分の対象となる。では相次ぐ警告にもかかわらず連絡の遅れが続く場合、雇用主はどういう処分を下せるのだろうか。ここではヘッセン州労働裁判所が1月に下した判決(12 Sa 522/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはフランクフルト空港で航空機の清掃業務を行う企業に勤務していた37歳の男性職員で、腰痛を理由に欠勤することが多かった。その際、欠勤連絡が遅れることが目立ったため、雇用主は2003年10月15日付の文書で「欠勤する際は連絡をすみやかに人事部に入れる」よう注意した。原告はそれにもかかわらず、その後も欠勤連絡の遅れが6回あり、そのうち4回は警告処分を受けていた。

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09年9月1日に欠勤連絡が遅れたことを受け、雇用主は同17日に即時解雇を通告。念のために解雇予告期間付きの通常解雇も通告した。原告はこれを不当として提訴した。

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第1審のフランクフルト労働裁判所は原告の訴えを認め、即時解雇も通常解雇も無効とする判決を下した。これに対し第2審のヘッセン州労裁は、即時解雇を無効としたものの、通常解雇については妥当との判断を示した。判決理由で裁判官は、航空機の清掃は特定の時間内に行わねばならない業務で、作業員が勤務できない場合は速やかに代替要員を手配しなければならないと指摘。そうした事情があるにもかかわらず原告は欠勤連絡の遅れで何度も警告を受けており、解雇はやむを得ないとの判断を示した。

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