独エネルギー3位のEnBW(カールスルーエ)が、計93.1%を出資する地元バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州と同州の自治体系投資会社OEW Energie-Beteiligungs GmbHに計8億ユーロの出資額引き上げを求めているようだ。増資によって資金を確保し、これまで手薄だった再可エネルギー事業を強化、経営改善を目指す。
\同社は、ドイツの原発廃止前倒し政策を受けて原発2基の廃炉が決定、今年上半期の最終損益は前年同期の黒字(8億9,900万ユーロ)から5億9,000万ユーロの赤字へと転落した。発電量の約50%を原発に頼ってきた同社は今後、北海・バルト海の洋上風力発電やガス発電事業を強化する方針で、投資資金が必要となっている。
\経営陣は資産売却(独ガス会社Verbundnetz Gas AGや墺電力会社EVNの少数株の売却)や子会社の株式発行で10億~15億ユーロを確保するほか、人員整理などを通してコストを7億5,000万ユーロ削減する計画だ。だが、競争力を維持するにはさらなる資金が必要で、大株主に出資額引き上げを求めている。
\これに対し、今年5月に発足した中道左派政権のニルス・シュミット州財務相は7月、納税者の負担増加につながる増資に否定的な立場を示している。中道右派の前政権が50億ユーロの大金を投じEnBW株を買い戻したため、財政がひっ迫しているという事情があるためだ。OEWについては匿名出資を検討しているとの報道がある。
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