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2011/10/12

経済産業情報

運輸業界で値上げの動き

この記事の要約

料金値上げに踏み切る運輸会社が相次いでいる。燃料や人件費などのコスト上昇で利益を十分に確保できないためだ。陸運大手Schenkerのハンスイェルク・ローディ社長によると、値上げの影響はほぼすべての産業分野に及ぶ見通し。『 […]

料金値上げに踏み切る運輸会社が相次いでいる。燃料や人件費などのコスト上昇で利益を十分に確保できないためだ。陸運大手Schenkerのハンスイェルク・ローディ社長によると、値上げの影響はほぼすべての産業分野に及ぶ見通し。『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じた。

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FTD紙によると、米宅配便大手のUPSとFedexが航空燃料高騰を理由に料金を引き上げたほか、ドイツポスト子会社DHLの航空貨物輸送部門(DHL Freight)も値上げを発表した。スイス物流大手Kuehne+Nagelの関係者は、「1日付でトラック輸送料金を引き上げた企業が目立つ」と指摘する。

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ローディ社長は「我々はあらゆる方面から価格圧力を受けており、(健全な企業運営に必要な)利益を確保できない状況だ」と発言。また、先の金融・経済危機で物流需要が減少した際に、料金下落が加速したことも追い打ちをかけているという。景気回復を受けて物流需要は回復したものの、「十分な利益率を確保できたことは一度もない」と話す。

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同社長によると、運輸業界がコスト上昇分を顧客に転嫁しづらいのは、高いシェアを持つ業者が存在せず、価格交渉力が弱いためだ。Schenkerはトラック輸送で欧州最大手に属するものの、「欧州市場シェアは3%程度に過ぎない」という。

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