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2011/10/19

ゲシェフトフューラーの豆知識

企業業績が悪ければボーナス削減可

この記事の要約

銀行では業績に連動したボーナスが行員に支給される。その額は年によって変動が大きく、ボーナスが少ないときは行員の財布の紐が自然と引き締まるようである。金融都市フランクフルトの寿司屋で聞いた話によると、それまでアラカルト注文 […]

銀行では業績に連動したボーナスが行員に支給される。その額は年によって変動が大きく、ボーナスが少ないときは行員の財布の紐が自然と引き締まるようである。金融都市フランクフルトの寿司屋で聞いた話によると、それまでアラカルト注文していたバンカーがお得なセットメニューに切り替えることは珍しくないという。

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銀行員の生活を大きく左右するこのボーナスをめぐる訴訟で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が12日に判決(訴訟番号:10 AZR 756/10)を下したのでここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのはコメルツ銀行に2009年5月11日付で買収されたドレスナー銀行で勤務していた行員。ドレ銀は08年8月の取締役会で2008年度のボーナス総額を4億ユーロとすることを決定、同年12月に暫定支給額を記した文書を各行員に渡した。原告の受給額は17万2,500ユーロとなっていた。

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だが、取締役会は09年2月、2008年度の営業損益が約65億ユーロの赤字になったことを受けてボーナス支給額を9割削減することを決定。原告は受給額が1万7,500ユーロへと引き下げられたため提訴した。08年決算が赤字となることはボーナス支給総額を決めた8月の時点で分かっており、不当な措置と判断したのである。

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原告は第1、第2審で敗訴。最終審のBAGも同様の判断を示した。判決理由で裁判官は、08年度決算で巨額赤字を計上したことを踏まえれば、ボーナス削減決定は公正な裁量に基づく(nach billigem Ermessen)決定であり、民法典(BGB)315条の規定に合致していると指摘。不当な措置には当たらないとの判断を示した。

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