欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/11/2

経済産業情報

公開型不動産ファンド、清算7本目に

この記事の要約

運用を中止して清算となる公開型不動産ファンドが相次いでいる。運用会社のAberdeenは「Degi Global Business」の清算を8月18日に発表したのに続き、10月25日には「Degi Internation […]

運用を中止して清算となる公開型不動産ファンドが相次いでいる。運用会社のAberdeenは「Degi Global Business」の清算を8月18日に発表したのに続き、10月25日には「Degi International」の清算を決定。Axa Investmentも同日、「Axa Immoselect」の清算に踏み切った。これに先立つ5月にはTMW Pramerica Property Investmentが「TMW Immobilien Weltfonds」の清算を決めており、ドイツ国内で清算される公開型不動産ファンドはこれで7本に拡大した。

\

今年に入って清算が決まった4本のファンドは、世界的な金融市場の混乱を背景に2009~10年から償還停止が続いていた。TMW Immobilien Weltfondsは来年2月に、他の3本のファンドも今年11月に凍結期限が迫っているが、ギリシャ債務問題に端を発する金融市場の混乱が足を強く引っ張り運用成績が悪化。凍結を解除すれば解約が殺到し運用不能に陥る恐れがあるため、清算を余儀なくされた。また、信用協同組合Volks- und Raiffeisenbankenは今春、「Uni Immo Global」を一時凍結した。同ファンドは日本の不動産に投資しており、同組合は東日本大地震と福島原発事故をきっかけに顧客が解約に走る可能性があったと事情を説明している。

\

ドイツ投資信託協会(BVI)によると、8月末時点で償還停止中の公開型不動産ファンドの運用資金は計174億ユーロに上る。来年5月には「SEB Immoinvest」「CS Euroreal A」「KanAm Grundinvest」の3本(運用資金:計165億ユーロ)が凍結期限を迎える。清算の動きがさらに広がれば、投資ファンド業界全体のイメージが悪化しかねないと業界関係者は頭を痛めている。

\