ビジネスソフトウエア大手のSAP(ヴァルドルフ)が、今年7月に発売した新たなインメモリーデータベースソリューション「SAP HANA」の需要増に大きな期待をかけている。SAP HANAは大量データの高速検索、リアルタイムコンピューティングなどで処理性能が高い。発売からこれまでの売上高は6,100万ユーロにとどまるものの、IBM、Oracleなどの競合は無視できない存在として動向を注視し始めたようだ。10日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じた。
\HANA(High-performance ANalytic Appliance)は、システムのリアルタイム化を推し進めるうえでネックになっていたデータベース分析の問題解決に向けて開発されたソリューション。データベースと演算エンジンをメインメモリー上に統合してデータ解析ツールと組み合わせることで、超高速のデータアクセスと分析を可能にした。SAPによると、従来システムでは数時間かかっていた処理が、わずか数秒で完了するという。
\IT市場調査大手Gartnerのアナリストは、企業データベース市場におけるインメモリーデータベース分析システムのシェアが今後5年以内に25%以上に拡大すると予測する。
\SAPが自前のデータベースを開発したことで、これまでSAPシステムの推奨データベースとしていわば依存関係にあったOracleやIBMとの競合関係が強まる。ただ、インメモリーシステムは比較的高価なことから、IBMの担当者は「リアルタイム分析を必要としない中小規模のSAP顧客が新システムに切り替えるかは疑問」と指摘。従来のデータベースが全てインメモリーにとって代わられることはないとの見方を示した。
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