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2011/11/23

経済産業情報

鼻粘膜でアルツハイマー早期診断が可能に

この記事の要約

アルツハイマー病の主要原因物質の1つとされるタウタンパク質(以下:タウ)が、神経細胞内だけでなく、鼻の嗅粘膜にあるボーマン腺(嗅腺)と呼ばれる分泌腺にも蓄積されていることをダルムシュタット工科大学の研究チームが初めて突き […]

アルツハイマー病の主要原因物質の1つとされるタウタンパク質(以下:タウ)が、神経細胞内だけでなく、鼻の嗅粘膜にあるボーマン腺(嗅腺)と呼ばれる分泌腺にも蓄積されていることをダルムシュタット工科大学の研究チームが初めて突き止めた。嗅粘膜の変化と脳内のタウ蓄積には非常に高い相関関係がみられ、発症の数年前の時点でアルツハイマーを診断できる可能性が濃厚という。

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タウは神経軸索内にある微小管結合タンパクで、微小管の重合を促進したり安定化させる役割を持つ。アルツハイマー患者の脳では、アミロイドβタンパク(Aβ)が神経細胞外に沈着する「老人斑」と、リン酸化したタウが神経細胞内に異常蓄積する「神経原線維変化」が現れることが知られている。

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タウはアルツハイマー病を診断するための有力なバイオマーカーとして近年、注目を集めている。ダルムシュタット工科大のボーリス・シュミット教授によると、脳の神経細胞以外で神経原線維変化が発現する場所として網膜神経があり、蛍光色素で染色すると眼底検査で発見できる。

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ダルムシュタット工大のチームは、タウ検査用蛍光色素開発プロジェクトの途上で、ボーマン腺にもタウが蓄積されていることをなかば偶然に「発見」。これを受けて、アルツハイマーで死亡した患者100人の嗅粘膜細胞を調べたところ、ボーマン腺のタウ蓄積量と脳内変化の度合いには明白な相関関係があることが確認されたという。現在はミュンヘン大学でアルツハイマー患者を対象にした臨床試験を実施し、さらに詳しいデータを収集している。

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