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2011/11/30

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇凍結協定の締結企業で解雇は不可

この記事の要約

ドイツでは経営上の理由による整理解雇を労使の協定で禁止している企業がある。何年何月何日までは整理解雇を行わないという時限協定の形で取り決めるのが常である。こうした解雇凍結協定を締結している場合、企業はいかなる事情があって […]

ドイツでは経営上の理由による整理解雇を労使の協定で禁止している企業がある。何年何月何日までは整理解雇を行わないという時限協定の形で取り決めるのが常である。こうした解雇凍結協定を締結している場合、企業はいかなる事情があっても解雇を行うことができない。デュッセルドフル州労働裁判所がこの問題をめぐる訴訟で判決を下したのでここでお伝えする。

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裁判を起こしたのは教会系の病院に勤務する職員。同病院の労使は2011年末まで経営上の理由による解雇を行わないことを協定で取り決めていた。だが、業界の協定賃金が同年初から大幅に引き上げられたことを受け、雇用主は人件費が膨らんで倒産が避けられなくなると判断。解雇計画について従業員代表の合意を取り付けたうえで、計121人に即時解雇を通告した。原告はこれを不当として提訴した。

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裁判では第1審が原告勝訴を言い渡し、第2審のデュッセルドルフ州労裁も同様の判決を下した。判決理由で裁判官は、解雇凍結の取り決めは労使協定の形を取っていても各被用者と雇用主が個別に結んだ契約に当たると指摘。従業員代表との取り決めを根拠に解雇することはできないとの判断を示した。

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また、解雇凍結協定を結ぶということは経営状況が悪化する可能性があることを想定しているとも指摘。実際に経営が悪化したからといって協定を取り消すことは不当だと言い渡した。

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複数の被用者が裁判を起こしたため、訴訟件数は6件に上る。訴訟番号は12 Sa 926/11、12 Sa 928/11、12 Sa 946/11、12 Sa 982/11、12 Sa 1079/11、12 Sa 1164/11。

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