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2011/12/21

ゲシェフトフューラーの豆知識

ゲルベシャイン、病欠第1日目の提出要求で高裁判決

この記事の要約

病気で会社を休む場合、社員はその旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(Arbeitsunfaehigkeitsbescheinigung、通称ゲルベシャイン)を後日、提出しなければならない。提出の […]

病気で会社を休む場合、社員はその旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(Arbeitsunfaehigkeitsbescheinigung、通称ゲルベシャイン)を後日、提出しなければならない。提出の期限は病休初日から4日目までである。これは「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」5条1項第1、2文に定められた規則である。ただし、同第3文には雇用主は期限日よりも早く提出することを被用者に要求できると書かれている。この第3文に関してケルン州労働裁判所が9月に判決(3 Sa 597/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは公共放送に勤務する女性ディレクター。2010年11月30日に出張することを申請したが却下され、前日の29日に行った再申請も受け付けられなかった。

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出張を希望していた30日になって病気で働けないと勤務先に連絡を入れたところ、上司からゲルベシャインをすみやかに提出するよう要求されたため、翌12月1日に提出した。発行日が12月1日であったうえ、同ディレクターが「もう元気になった」と言ったため、雇用主は不正の病気休暇だった疑いがあると判断。同ディレクターに宛てた10日付の文書で「今後は病休初日にゲルベシャインを提出する」よう要求した。

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これに対し同ディレクターは雇用主が期限日よりも早くゲルベシャインを提出するよう被用者に要求できるのは過去に病休を不正取得した疑いがある場合に限られるとの見解を提示したうえで、自分の病休はそうしたケースに当たらないと主張。雇用主の要求は恣意的で、違法なパワーハラスメントに当たるとして提訴した。

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第1審のケルン労働裁判所は原告ディレクターの訴えを棄却、第2審のケルン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用主は特に理由を提示することなくゲルベシャインを期限よりも早く提出するよう要求できるとの判断を示した。

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EntgFG5条1項第3文については法解釈が定まっていないため、裁判官は最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告を認めた。

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