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2012/1/4

経済産業情報

GaAs半導体の電気抵抗発生をリアルタイムで観察

この記事の要約

ガリウム(Ga)とヒ素(As)を材料とするヒ化ガリウム(GaAs)半導体で、電場がかかった直後に電気抵抗が発生する様子をフェムト秒(フェムトは千兆分の1)スケールで観察することに、ベルリンのマックス・ボルン非線形光学・短 […]

ガリウム(Ga)とヒ素(As)を材料とするヒ化ガリウム(GaAs)半導体で、電場がかかった直後に電気抵抗が発生する様子をフェムト秒(フェムトは千兆分の1)スケールで観察することに、ベルリンのマックス・ボルン非線形光学・短パルス分光工学研究所(MBI)のチームが成功した。電子に比べサイズが大きく動きの鈍い正孔(ホール)が電子の通り道に立ちはだかることで電子のスピードが極端に落ちることを確認した。

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電気抵抗がゼロになるいわゆる「超電導」は低温下(絶対零度付近)で起こる現象で、常温常圧の状態では通常、電気抵抗が発生する。電気抵抗は原子核の振動によって電荷分布が変化し、電子の運動に影響が及ぶために起こるとされる。

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MBIのチームは今回、GaAsのバルク結晶に電気の代わりにテラヘルツパルス波を照射して電場を作り、電子とホールの動きを観察した。

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電子はテラヘルツ波照射の直後、さえぎられることなく加速したが、およそ300フェムト秒後に電子と反対の方向に移動するホールとの衝突による影響が現れ出した。ホールが電子の流れを遮ることで電気抵抗が生じ、温度の上昇によって粒子の運動が活発化する結果、電子と正孔がガス状となった電子正孔プラズマとして振る舞うようになったという。

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MBIの研究者は、電子が道をふさがれて先に進めなくなったときのスピードは「時速に換算して1メートルで、カタツムリより遅かった」と話す。研究の結果は『Physical Review Letters』に掲載された。電子とホールの動きの様子(動画)はForschunsverbund Berlinのウェブサイトで視聴できる。

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