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2012/1/11

経済産業情報

再可エネ電力の市場取引制度スタート、風力発電を中心に参加が急増

この記事の要約

風力・太陽光などの再生可能電力を電力市場で直接取引できる制度が1日からドイツ国内でスタートした。変動価格システムに組み込むことで、需要(取引価格)が高い時間帯の発電(売電)を促し、電力需給の平準化を図る狙い。市場取引に参 […]

風力・太陽光などの再生可能電力を電力市場で直接取引できる制度が1日からドイツ国内でスタートした。変動価格システムに組み込むことで、需要(取引価格)が高い時間帯の発電(売電)を促し、電力需給の平準化を図る狙い。市場取引に参加する発電事業者に対しても助成金が支払われるなど魅力が高く、風力発電を中心に参加が急増しているという。9日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。

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新制度では、市場取引価格が再生可能エネルギー法(EEG)の定める固定買い取り価格を下回っていたことが判明した場合、差額がEEG法に基づく助成金で補てんされる。精算は翌月以降に行われるため、事業者は短期的に運転資金不足になる恐れがあるものの、最終的には相殺されるため、市場メカニズム参加で損失を被るリスクはない。また、固定価格より高く売電できた分については返還の必要はなく、そのまま利益として計上できる。さらに、市場取引に参加する発電事業者には「経営助成金」が支払われる。助成額は風力発電の場合で売電1キロワット時当たり1.2セント(額は年を追って段階的に引き下げられる)。独産業エネルギー需用家連盟(VIK)の試算によると、出力1.5メガワットの風力発電装置15基のウィンドパークが年2,500時間発電し、全て市場で売電すると、経営助成金だけで67万5,000ユーロの収入になるという。

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新制度は発電コストが相対的に安く、需要の高い時間帯であれば固定価格より高い値で取引される可能性もある風力発電にとって最もメリットが大きく、1月の風力発電量の4割が市場で取引される見通しだ。一方、発電価格が市場価格を大幅に上回る太陽光発電では、固定価格より高く売電できる可能性はほとんどないため、市場取引に乗り出す事業者は少ないとみられる。

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