欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/1/4

ゲシェフトフューラーの豆知識

社員用駐車場の割当で女性優遇は差別に当たらず

この記事の要約

適切な理由がある場合は宗教や障害、年齢、性別に基づいて異なる待遇をすることが差別に当たらない。これは一般平等待遇法(AGG)20条に明記されたルールである。この問題に関する係争でマインツ州労働裁判所が昨年9月に判決を下し […]

適切な理由がある場合は宗教や障害、年齢、性別に基づいて異なる待遇をすることが差別に当たらない。これは一般平等待遇法(AGG)20条に明記されたルールである。この問題に関する係争でマインツ州労働裁判所が昨年9月に判決を下したのでここで取り上げてみる。

\

裁判を起こしたのは従業員数2,500人の病院に勤務する男性職員。同病院は病院に隣接するZパークハウスと約500メートル離れたXパークハウスに職員用の駐車場を保有し、従業員に賃貸ししている。駐車台数はZパークハウスが85台、Xパークハウスが約600台と差が大きく、雇用主は利便性の高いZパークハウスを優先的に賃貸する職員の基準として(1)勤務開始時間が6時30分前ないし勤務終了時間が20時以降(2)(男性よりも)女性(3)勤続年数(4)年齢――を設定してきた。

\

原告男性は2008年10月に障害者と認定された。これを受けて、雇用主から賃貸する駐車場をこれまでのXパークハウスから勤務先に隣接したZパークハウスに変更することを申請。何度申請しても希望が通らなかったため、提訴した。男性よりも女性に優先的に賃貸するとした基準が性差別を禁じたAGGの規定に反すると訴えたのである。

\

これに対し雇用主は、女性を優先するのはしばしば強姦被害に遭うためだとして、原告の批判に反論。第1審のカイザースラオターン労働裁判所と第2審のマインツ州労裁はこの主張を支持し、原告の訴えを棄却した。危険の回避やプライバシーの保護、個人の安全確保に必要な場合は待遇に区別をつけることが認められるとしたAGG20条1項の規定を根拠としている。

\

最高裁への上告は認めなかった。

\
企業情報
経済産業情報
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |