ハンスペーター・フリードリヒ連邦内務相(キリスト教社会同盟=CSU=)は、公共事業などの大型プロジェクトに構想・素案段階から住民を参加させる意向だ。早い段階で各地の住民の意見を取り入れ、必要に応じて計画を修正することで、反対運動によるプロジェクト遅延や中止を回避する狙い。連邦内務省(BMU)は近日中に当該法案の原案を関係省庁に送付し、調整に入る。
\同法案の背景にあるのはシュツットガルト中央駅再開発プロジェクト「Stuttgart 21」だ。同プロジェクトの発端は1980年代までさかのぼるが、経済的なメリットなどを疑問視する市民が激しい反対運動を繰り広げ、計画は大幅な遅れを余儀なくされている。昨年11月に住民投票が行われ、建設に実質的なゴーサインが出たものの、今年初めには州首相が反対派から靴を投げつけられるなど、事態は鎮静化していない。
\フリードリヒ内相の法原案によると、自治体は大型プロジェクトを計画する企業に対し、認可申請前に意見公募(パブリックコメント)の手続きをとるよう指示することを義務付けられる。企業は懇談会や住民参加型ワークショップ、インターネットの掲示板などを通して意見を収集し、認可申請時にまとめて提出する。パブリックコメントには国の内外を問わず誰でも参加できる。これにより市民は積極的にプロジェクトに関与でき、審査を行う自治体も住民の意見を参考に認可の是非を判断できる。
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