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2012/1/18

経済産業情報

環境ゾーン、大気汚染防止には効果薄か

この記事の要約

大気中の微細粉塵(PM10)を減らす目的で自動車の乗り入れを制限する「環境ゾーン」制度は開始されてから4年が経過したものの、目に見えた改善効果は現れていないようだ。連邦環境庁の調査によると、2011年に国内で測定された大 […]

大気中の微細粉塵(PM10)を減らす目的で自動車の乗り入れを制限する「環境ゾーン」制度は開始されてから4年が経過したものの、目に見えた改善効果は現れていないようだ。連邦環境庁の調査によると、2011年に国内で測定された大気中のPM10量は前年に比べてほとんど変化がなく、市街地の一部では許容値をオーバーした日数が前年よりも増加したという。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が独自入手した連邦環境庁の報告書を元に報じた。環境庁は今月末に報告書を公開する予定。

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一方、ベルリン州によると、PM10の量が減少しなかったことは必ずしも環境ゾーンに効果がなかったことを意味するわけではないという。同州政府の調査によると、市内で測定された微細粉じんの大半はポーランドやロシアなどの周辺諸国から風に乗って運ばれてきたもので、自動車の排ガスによるものは5分の1にも満たなかった。特に10年夏にロシアで発生した森林大火災はPM10量を押し上げる大きな原因となった。09年、10年と続いた冬の寒波で暖房油需要が増えたこともマイナス要因という。市の担当者は「環境ゾーンが制定されていなければ市内のPM量は7%増加していた」と指摘する。

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環境ゾーンは08年1月1日、ベルリン、ケルン、ハノーバーで導入された。その後、導入する自治体は増加し、12日現在でミュンヘン、シュツットガルトなど54の自治体が環境ゾーンを設定している。

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乗り入れ制限の基準は自治体によって異なる。フランクフルト、ベルリン、ブレーメンなど7都市は最も厳しい規制を敷いており、欧州連合(EU)の排ガス基準「ユーロ4」を満たしていない車両の乗り入れを禁止している。

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