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2012/1/25

経済産業情報

大規模停電の危機高まる、送電網会社が警告

この記事の要約

ドイツ国内で高圧送電網の管理・運営を手がける50Hertz Transmissionのボーリス・シューフト社長は17日、大規模停電の可能性が高まっているとして、強い危機感を表明した。同社の管内にある原発3基のうち2基が廃 […]

ドイツ国内で高圧送電網の管理・運営を手がける50Hertz Transmissionのボーリス・シューフト社長は17日、大規模停電の可能性が高まっているとして、強い危機感を表明した。同社の管内にある原発3基のうち2基が廃炉を余儀なくされ発電能力が不足しているため。17日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』紙が報じた。高圧送電網会社が単独で警告するのは極めて異例という。

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50Hertzは欧州電力大手バッテンフォールの元子会社で、東部ドイツ地域やハンブルクを中心とする地域で事業を展開している。同社は昨冬まで事業エリア内の原発3基(クリュンメル、ブルンスビュッテル、ブロークドルフ)から電力供給を受けていたが、政府の老朽原発廃止決定を受けてクリュンメルとブルンスビュッテルが廃炉となったため、電力の安定供給が難しくなっている。シューフト社長によると、電力需給のひっ迫から送電系統の3分1で負荷が限界に達しており、特にハンブルク周辺やライン・マイン地域(フランクフルトを中心とするエリア)など電力需要が集中する大都市圏で停電のリスクが高いという。

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同社は最悪の事態を回避するため、大口需要家であるハンブルクのアルミニウムメーカーTrimet向けの電力供給を非常時に最大1時間、停止することを取り決めた。これでも不十分な場合は住民に節電を呼びかけることで乗り切りたい考えだ。

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