欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/1/25

経済産業情報

新薬販売価格、メーカーと健保の交渉始まる

この記事の要約

特許薬の価格取り決めに関する法令(AMNOG)に基づくメーカーと公的健康保険との初の価格交渉が23日開始された。交渉第1号となったのはアストラゼネカの抗血栓症薬「ブリリック(薬効名:チカグレロル、米商品名:ブリリンタ)」 […]

特許薬の価格取り決めに関する法令(AMNOG)に基づくメーカーと公的健康保険との初の価格交渉が23日開始された。交渉第1号となったのはアストラゼネカの抗血栓症薬「ブリリック(薬効名:チカグレロル、米商品名:ブリリンタ)」。同薬は新薬査定を担当する専門委員会から「一部の適応症については既存薬よりも優れているとは言えない」との評価を受けており、薬剤費支出を引き下げたい健保と価格を維持したいメーカーの間で激しい攻防戦が繰り広げられそうだ。

\

AMNOGでは、2011年1月以降に発売された新薬を対象に、第3者機関が薬の効能を評価・査定したうえで、既存薬より治療効果が高いと判断された新薬についてメーカーと公的健保が交渉で薬価を決定する仕組みになっている(図を参照)。

\

医師と健保の代表からなる合同委員会(G-BA)は昨年12月、ブリリックが対象とする適応症のうち患者全体の8割を占める2種類の疾患について「既存薬よりかなり治療効果が高い」ないし「治療効果が高い」と判定した一方、患者のおよそ2割を占める3種類の疾患については「特に優れた効果は認められない」との評価を下した。

\

ブリリックはドイツでは910.24ユーロ(投与1年分換算)で販売されているが、公的健康保険組合連合会(GKV)側は「デンマークやノルウェーではこれより最大で125ユーロ安い」と指摘。国内価格は高すぎると批判する。

\

メーカーと健保の交渉は6月末まで続けられる。合意に達しない場合は調停機関が価格を提案する。

\