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2012/2/8

経済産業情報

経営破たんの石油大手、複数の投資家が買収に関心

この記事の要約

先月末に経営破たんしたスイスの独立系石油精製大手Petroplus(ツーク)の買収に複数の投資家が名乗りを上げている。1月27日に米投資家Gary Kleschが仏独英の拠点買収に関心を示したことに続き、今月1日にはGo […]

先月末に経営破たんしたスイスの独立系石油精製大手Petroplus(ツーク)の買収に複数の投資家が名乗りを上げている。1月27日に米投資家Gary Kleschが仏独英の拠点買収に関心を示したことに続き、今月1日にはGoldman Smith Partnersが全拠点の引き継ぎに関心を表明した。地方紙『ドナウクリエ』によると、問い合わせも含めこれまでに数十社からコンタクトがあったという。

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Petroplusの倒産は欧州の石油精製業界の問題を浮き彫りにするものだ。業界は構造的な過剰生産能力問題を抱えており、収益性は低下を続けている。ロイヤル・ダッチ・シェルやBPなどの石油メジャーに属さない独立系の業者は原料の原油を購入する必要があり、財務は厳しい。

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さらに追い打ちをかけるのは国際競争力の低さだ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、ロシアの製油所は補助金による支援を受けているほか、米国では原油・ガス価格が低く抑えられている。アジアや中東では製油業が急成長しており、生産効率の高い最新式プラントで生産している。一方、欧州では効率の悪い旧式の製油プラントが多いうえ、欧州連合(EU)の排出量取引制度(EU-ETS)に組み込まれているため、欧州外の競合に比べコスト高を余儀なくされている。

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こうした事情を背景に、業界各社の欧州製油事業は縮小が続いている。ロイヤル・ダッチ・シェルは2011年決算で赤字を計上、米エクソンモービルやシェブロンも減益となった。石油化学コンサルティングJBC Energyの関係者は、過去2年間で欧州製油業の石油精製能力は1日当たり百万バレル減少したと指摘する。今回倒産したPetroplus(70万バレル/日)のも含めればさらに数字は高くなるとしている。

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Petroplus買収への関心は高いものの、再建の道のりは厳しそうだ。

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