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2012/2/22

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇保護ルール、障害者であることを伏せると適用されず

この記事の要約

障害者を解雇から守る法律は2つある。1つは第Ⅸ社会法典(SGBⅨ)85条で、障害者社会統合局の同意がないと解雇できないと明記されている。もう1つは解雇保護法(KSchG)1条3項で、雇用主は事業所委員会と共同で整理解雇の […]

障害者を解雇から守る法律は2つある。1つは第Ⅸ社会法典(SGBⅨ)85条で、障害者社会統合局の同意がないと解雇できないと明記されている。もう1つは解雇保護法(KSchG)1条3項で、雇用主は事業所委員会と共同で整理解雇の対象者を選ぶ場合、障害者を可能な限り対象から外すよう努めることが義務づけられている。

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ことの性質上、こうした優遇を適用するには被用者が障害者であることを雇用主が知っていなければならず、雇用主には障害の有無を質問する権利がある。この場合、障害があるにも関わらずその事実を伏せると、優遇を受けることはできない。そんな判断を最高裁の連邦高等裁判所(BAG)が16日の判決(訴訟番号:6 AZR 553/10)で示した。

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裁判を起こしたのは重度の障害を持つ男性。同男性が勤務していた企業は2009年1月に倒産し、管財人の管理下に入った。

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管財人は経営再建に向けて解雇対象者を選別するための準備として、社員にアンケート調査を実施。障害の有無についても質問したところ、原告男性は「障害を持っていない」と記入した。

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男性は5月26日付の文書で解雇通告された。この段階になって、障害者であると主張。障害者社会統合局の同意がないことを理由に解雇無効を主張し、提訴した。

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男性は第1審で勝訴したものの、第2審で敗訴。最終審のBAGも2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、解雇対象者の選別に当たって障害の有無をたずねることは雇用主(ここでは管財人)の義務であり、正確な回答を得られなければ適切な措置をとれないと指摘。法律に則った雇用主の質問に虚偽の回答をした原告は障害者としての優遇を受けることができないとの判断を示した。また、障害の有無を質問したことは障害者差別に当たらず、個人情報保護法にも抵触しないとしている。

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