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2012/3/7

ゲシェフトフューラーの豆知識

航空機誘導員ストは「平和義務」違反

この記事の要約

労使協定の有効期間に協定当事者が闘争的な手段を行使することは禁止されている。これは「平和義務(Friedenspflicht)」と呼ばれる法理で、労働組合のストライキや雇用者側のロックアウトは違法行為となる。フランクフル […]

労使協定の有効期間に協定当事者が闘争的な手段を行使することは禁止されている。これは「平和義務(Friedenspflicht)」と呼ばれる法理で、労働組合のストライキや雇用者側のロックアウトは違法行為となる。フランクフルト空港の航空機誘導員が実施したストに対しフランクフルト労働裁判所が2月29日の判決(訴訟番号:9 Ga 24/12)でこの原理を適用したので、ここで取り上げてみる。

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航空管制官労組GdFに属する航空機誘導員は大幅なベースアップなどを要求。これが雇用主であるフランクフルト空港運営会社フラポートに受け入れられなかったため、2月16日にストライキを開始した。その後、労使交渉が再開されたため、ストを一時中断したものの、再び決裂したことを受けて26日21時~3月1日5時の予定で再びストに突入した。

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これを受けてフラポートとストの被害を強く受けた航空大手ルフトハンザはストの差し止めを求める仮処分申請をフランクフルト労裁に提出。裁判官はこれを受け入れてストの中止を命じた。

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判決理由で裁判官は、有効期限が切れた協定の内容についてはストを通して新たな要求を主張できるが、現在有効な労使協定の取り決めについてはその変更をストで要求することはできないと指摘。高齢労働者の夜間勤務禁止と保護に関するGdFの要求は現在有効な協定の変更を求めるもので、これを求めてストを行うことは平和義務に抵触するとの判断を示した。

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GdFは控訴を断念したため、ストはひとまず終了した。ただ、高齢労働者の夜間勤務禁止と保護以外に要求を絞り込めばストを再開できる。

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