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2012/3/21

経済産業情報

原発合弁契約めぐる調査に進展、アレバとシーメンスが是正提案

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、仏原子力大手アレバと独総合電機大手シーメンスが結んだ原子力分野の合弁契約がEU競争法に違反する疑いがあるとして調査を進めている問題で、両社から契約条項の変更が提案されたことを明らかに […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、仏原子力大手アレバと独総合電機大手シーメンスが結んだ原子力分野の合弁契約がEU競争法に違反する疑いがあるとして調査を進めている問題で、両社から契約条項の変更が提案されたことを明らかにした。欧州委が問題にしている競業避止条項の対象範囲を縮小すると同時に適用期間を短縮し、秘密保持条項についても同様の変更を加えるという内容。両社は2009年に合弁関係を解消しているが、欧州委は競業避止条項によって現在も公正な競争が制限されている可能性があるとして改善策を求めていた。提案内容について関係する各方面から意見を聞き、問題がなければ調査を打ち切る。

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アレバとシーメンスは2001年に民生用原子炉製造の合弁会社アレバNPを設立。シーメンスはアレバNPの株式34%を保有していたが、事業戦略の見直しに伴い09年1月に合弁事業から撤退し、代わりに同年3月にロシアの国営原子力発電会社ロスアトムと提携関係を結んだ。シーメンスは11年4月にアレバNP株をアレバに売却し、合弁関係を正式に解消。さらに福島第1原子力発電所の事故を受けて昨年にはロスアトムとの合弁計画も撤回し、原子力事業から撤退している。

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アレバとシーメンスの合弁契約に盛り込まれた競業避止条項は、原子炉製造や核燃料など中核分野の事業について、合弁解消から最大11年間にわたり第3者との提携を禁止することが柱。合弁解消の直後にロスアトムと新たな提携を結んだ行為は契約違反にあたるとしてアレバがシーメンスを提訴したことで、競業避止条項の存在が明るみに出た。仲裁裁判所は昨年4月、同条項の対象となるすべての製品およびサービスについて、適用期間を合弁解消から最大4年に短縮するよう命じる裁定を下したが、欧州委はさらなる改善を求めていた。

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欧州委によると、両社が提示した改善策は、中核分野の製品およびサービスに適用する競業避止条項の期間を合弁解消から3年間に短縮すると同時に、非中核分野については同条項を即時撤廃するという内容。さらに秘密保持条項に関しても適用範囲を中核分野に限定し、期間も合弁解消から3年間とする方針を打ち出した。

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