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2012/3/28

総合 - ドイツ経済ニュース

ザールラント州で大連立政権樹立へ

この記事の要約

西南ドイツのザールラント州で25日、州議会選挙があり、2大政党のキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)がともに得票率を伸ばした。アンネグレート・クランプカレンバウアー州首相(CDU)は選挙後、有権者は安定政権 […]

西南ドイツのザールラント州で25日、州議会選挙があり、2大政党のキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)がともに得票率を伸ばした。アンネグレート・クランプカレンバウアー州首相(CDU)は選挙後、有権者は安定政権を望んでいると述べ、SPDと大連立政権を樹立する意向を表明した。両党は今週中にも政権協議の日程を決定する意向だ。

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同州では2009年8月に行われた前回の州議選で、中道右派の大政党CDUと小政党・自由民主党(FDP)、および環境政党の緑の党が全国で初めて同3党からなる政権(いわゆるジャマイカ政権)を樹立した。政権運営は当初、スムーズに進んでいたが、昨年以降はFDP内で内紛が絶えないため、クランプカレンバウアー首相は連立解消を決定した。連立解消の決定直後は中道左派のSPDと政権協議を行ったが、「州がかかえる大きな構造的問題」(首相)を解決するには5年の任期が必要という点で認識が一致。1月下旬に議会を解散した。

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CDUは今回の選挙で得票率を前回の34.5%から35.2%へと拡大した。SPDも同24.5%から30.6%へと伸ばしたため、両党は51議席中36議席を獲得。安定的に政権を運営できる基盤を確保した。第3党の左翼党が16.1%を獲得したため、SPDが同党と左派連立政権を樹立することは数字上、考えられるものの、SPDは左翼党との連立の可能性を選挙中から明確に排除しており、大連立政権の成立はほぼ確実な情勢となっている。

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これまで同州の与党だったFDPは得票率が前回の9.2%から1.2%へと激減し、議席獲得に必要な5%を大きく下回った。国政レベルでの人気凋落のほか、州レベルでの党内の内紛も響いた格好だ。同じく与党だった緑の党は5.9%から5.0%へと得票率が低下したものの、かろうじて2議席を確保した。

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同州選挙の台風の目となったのは初参加の海賊党で、いきなり7.4%を獲得した。同党が州議会に進出したのはベルリンに続いて2州目。有権者の政治不信が追い風となっている。

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