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2012/3/28

経済産業情報

SOFC燃料電池の耐久性で4万時間のカベ突破

この記事の要約

ユーリヒ総合研究機構(ヘルムホルツ協会所属、以下ユーリヒ研究所)が開発した固体酸化物型燃料電池(SOFC)の試作品が、連続実証運転で4万時間の壁を突破した。これは商品化の目安となる5年間の使用に耐えることを意味する。今回 […]

ユーリヒ総合研究機構(ヘルムホルツ協会所属、以下ユーリヒ研究所)が開発した固体酸化物型燃料電池(SOFC)の試作品が、連続実証運転で4万時間の壁を突破した。これは商品化の目安となる5年間の使用に耐えることを意味する。今回の運転性能評価は実験環境で行われたものの、試作品はほぼ市販モデルに近い仕上がりとなっており、実環境下でも優れたパフォーマンスが期待できるとしている。

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SOFCは燃料電池の中で最も発電効率が高いとされる。動作温度が700~1,000度と非常に高いため、高価な貴金属触媒を必要としない。また、排熱の有効利用により熱電併給システム(コジェネ)として活用できるため、分散型電源、特に家庭用の燃料電池として大きな関心を集めている。

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ユーリヒ研究所が開発したのは平板型のSOFCで、発電効率は64%(水素供給時)、動作温度は700度。排熱を利用して天然ガスなどの炭化水素原料から水素を取り出す場合はさらにエネルギー効率が高い。

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研究チームのスタッフは「我々は2年前には、寿命は長くても3万時間と見込んでいた」と述べ、予想を大きく上回る耐久性に驚きを示した。産業用途として目安になる6万~8万時間の連続運転には及ばないものの、「我々の試作品が長期間、安定して発電効率を保てることを確認できたことは大きな収穫」としている。ただ、システムの製造費はまだ高いため、コストの引き下げが量産化に向けた課題となる。

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