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2012/3/28

ゲシェフトフューラーの豆知識

年齢に応じた有給休暇日数は差別

この記事の要約

社員の年齢が上がるにつれて年次有給休暇の日数を増やす企業は比較的、多い。一般平等待遇法(AGG)が2006年に施行されてからは、そうした取り決めが労使協定から削除されるケースが増えているが、現在も残している業界や企業は少 […]

社員の年齢が上がるにつれて年次有給休暇の日数を増やす企業は比較的、多い。一般平等待遇法(AGG)が2006年に施行されてからは、そうした取り決めが労使協定から削除されるケースが増えているが、現在も残している業界や企業は少なくない。この取り決めに関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が20日に判決(訴訟番号:9 AZR 529/10)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのはブランデンブルク州バルニム郡に勤務する1971年生まれの女性職員。公共部門の労使協定(TVoeD)では29歳以下の年次有給休暇の日数が26日、30歳代が29日、40歳以上が30日と定められている。同職員は30歳代だった08年と09年にそれぞれ計30日の有給休暇取得を申請し、却下されたため、AGGで禁じられた不当な年齢差別に当たるとして提訴した。

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原告は第1審で勝訴したものの第2審で敗訴したため最高裁のBAGに上告し、逆転勝訴を勝ち取った。判決理由で裁判官は、労使協定は30歳ないし40歳になると疲労回復のニーズが高まるとの前提に立っているが、そうした考え方には妥当な根拠がないと指摘。39歳以下の職員の有給休暇日数を30日に引き上げて差別を解消するよう命じた。

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