欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/3/28

ゲシェフトフューラーの豆知識

労働時間口座に貯める時間の計算法で最高裁判決

この記事の要約

労働時間口座を利用する企業は多い。受注の増減などに対処するのに便利なためだ。ところで口座に貯めた時間の加減計算を行う際はどのような基準を適用すべきなのだろうか。この問題について最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が判決(訴訟 […]

労働時間口座を利用する企業は多い。受注の増減などに対処するのに便利なためだ。ところで口座に貯めた時間の加減計算を行う際はどのような基準を適用すべきなのだろうか。この問題について最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が判決(訴訟番号:5 AZR 676/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

\

裁判を起こしたのは郵便会社に勤務する配達員。同社では2008年3月末まで有効だった労使協定で、勤務時間1時間につき3.5分の有給休憩が取り決められていたが、同4月1日に発効した新協定で2.25分に短縮された。

\

原告の配属先では業務計画の関係で1時間当たりの休憩時間が6月末まで3.5分となっており、2.25分ルールは7月1日から適用された。

\

雇用主はこれについて、4~6月の3カ月間は休憩時間が本来2.25分であるにもかかわらず原告らは3.5分の休憩を享受してきたと指摘。余分に取得した休憩時間合わせて7.2時間を労働口座から差し引いた。原告はこれを不当として提訴した。

\

原告は第1審で敗訴したものの、第2審で勝訴。最終審のBAGも第2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、労働時間口座で管理される時間を雇用主が分単位で加減処理することは労働契約ないし事業所内協定、労使協定に特別な取り決めがないかぎり不当だと指摘。被告企業にはそうした取り決めがないとして、口座からの時間差し引きの撤回を命じた。

\