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2012/4/18

総合 - ドイツ経済ニュース

モトローラに対し欧州委が調査開始、特許乱用の疑いで

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は3日、EU競争法違反の疑いで米携帯端末大手モトローラ・モビリティに対する本格調査を開始したと発表した。米アップルと米マイクロソフトの申し立てを受けた動き。調査ではモトローラが標準規格に準拠す […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は3日、EU競争法違反の疑いで米携帯端末大手モトローラ・モビリティに対する本格調査を開始したと発表した。米アップルと米マイクロソフトの申し立てを受けた動き。調査ではモトローラが標準規格に準拠するために不可欠な特許(標準必須特許)を利用して、ライバルとの競争を阻害していないかどうかが焦点になる。

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モトローラは無線通信システムや画像圧縮技術などの特許侵害でアップルとマイクロソフトを提訴している。一方、マイクロソフトは2月、モトローラから合わせて50件の特許に対し、他社の1,000倍を超える法外な特許使用料を要求されたとして欧州委に苦情を申し立てた。モトローラは携帯電話の標準化機関との間で、標準必須特許については第3者に「公平、合理的、かつ非差別的(Fair, Reasonable, And Non-Discriminatoryの頭文字をとってFRANDと呼ばれる)」な条件で使用を許諾することを約束しており、欧州委は同社がFRAND条項を順守せず、市場支配的地位を利用して競争を歪めていないかどうか調査する。

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具体的には◇モトローラが自社の保有する標準必須特許を利用して、アップルの「iPhone」や「iPad」、マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ」やゲーム機「Xbox」を含む主力製品の販売差し止めを求めていないか◇標準必須特許の使用を許諾する際、アップルとマイクロソフトに対して差別的な条件を課していないか――の2点について調査を進める。

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欧州委は2月、米グーグルによるモトローラの買収を承認したが、その際、グーグルの特許戦略について注意深く監視を続けると警告していた。今回の調査はグーグルもターゲットにしたものかとの質問に対し、同委のコロノバーニ報道官は、現在および過去におけるモトローラの商慣行を対象にしたものだと説明し、グーグルによる買収手続きは現時点で完了していないと付け加えた。一方、モトローラは声明で「調査を通じて当社が(特許ライセンスをめぐる)義務を尊重し、EU競争法を順守していることが証明されると確信している」とコメントしている。

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携帯電話分野の標準必須特許をめぐっては、韓国のサムスン電子に対しても欧州委が今年1月からモトローラと同様の調査を行っている。

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