欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/4/25

ゲシェフトフューラーの豆知識

上司の犯罪防止義務で最高裁判決

この記事の要約

会社の経営者や上司は部下が犯罪を行うことを防止するために自ら積極的に動かなければならない。これは刑法典(StGB)13条から導き出されたルールである。これに関して最高裁の連邦司法裁判所(BGH)が昨年10月に判決(訴訟番 […]

会社の経営者や上司は部下が犯罪を行うことを防止するために自ら積極的に動かなければならない。これは刑法典(StGB)13条から導き出されたルールである。これに関して最高裁の連邦司法裁判所(BGH)が昨年10月に判決(訴訟番号:(4 StR 71/11)を下したのでここで取り上げてみる。

\

起訴されたのはノルトライン・ヴェストファーレン州の自治体Hの道路建設課に勤務する係長。同係長の部下3人は2006年2月~08年7月の約2年半、別の係に属する同僚Dに対し勤務時間中に職場で何度も暴行を加えていた。同係長は現場に居合わせたにもかかわらず見て見ぬふりをしてきたため、刑法典13条違反の容疑で起訴された。

\

第1審のジーゲン地方裁判所は被告係長に無罪を言い渡した。検察はこれを不服として上告。連邦司法裁は1審判決を破棄し、ジーゲン地裁に裁判を差し戻した。

\

判決理由で裁判官は、刑法典13条に基づく上司などの犯罪防止義務は犯罪行為が業務と内的に関連している場合にのみ発生する指摘。部下3人の暴行は勤務中に仕事場で起きたものの、業務とは内的な関連がないとして、被告は同義務には反していないと言い渡した。

\

ただ、裁判官はこれに続けて、被告はけが人などを目撃した市民に課せられる救援義務を定めた刑法典323c条に違反している可能性があると指摘。第1審ではこの点を十分に審理していないとして裁判のやり直しを命じた。

\